話題1 生理学研究所一般公開(10/4 開催)最終のご案内
“脳とからだのしくみ サイエンス・アドベンチャー”
特別企画、募集企画等についてのご説明
自然科学研究機構(岡崎)では、2014年10月4日(土曜日)に一般公開を開催いたします。今年は、生理学研究所の研究テーマである人体と脳の不思議をより身近に感じていただくために、「生理学研究所 一般公開 ―脳とからだのしくみ サイエンスアドベンチャー!―」をテーマに、生理学研究所のすべての研究室と研究内容を体験できる展示を中心に、様々な企画を考え、準備を進めております。
今回は、特別企画として、所内外の講師による、特別講演を予定いたしております。
所外からは、昨今、致死率の高い感染症が人間社会を脅かされる中、その一つでもある鳥インフルエンザについて、「鳥インフルエンザのパンデミックの可能性」と題し、東京大学医科学研究所 渡辺登喜子准教授に、続いて、南米チリに設置され、現在本格的な科学運用が開始されたアルマ望遠鏡の、国際アルマ望遠鏡計画に従事した、自然科学研究機構 国立天文台 井口聖教授には、「アルマ望遠鏡、ついに始動!―天文台の新時代の扉が開かれる―」と題して、それぞれご講演いただきます。
講演は、入場無料・予約不要ですので、この機会に、多くの市民の皆さまにいらしていただきたいと思っております。
また、楽しみながら「せいりけん」を知っていただけるように、「せいりけんスタンプラリー」をご用意しています。多くの研究室を巡って、5つのスタンプを見つけ、せいりけんグッズを手に入れてください。
日時:2014年10月4日 土曜日9:30-17:00 (受付終了 16:00)
場所:第1会場:生理学研究所明大寺キャンパス
(名鉄東岡 崎駅南口より徒歩10分)
第2会場:岡崎コンファレンスセンター
(名鉄東岡崎駅南口より名鉄バス
竜美丘循環岡崎高校前下車徒歩2分)
※国立大学フェスタ2014の一環として行われます。
一般公開の詳細については、生理研一般公開特設HPをご覧ください
http://www.nips.ac.jp/open
<特別企画>特別企画(どなたでも参加いただけます。 予約不要です)
特別講演① 10:00~10:45 岡崎コンファレンスセンター
箕越 靖彦 先生(自然科学研究機構 生理学研究所 生殖・内分泌系発達機構研究部門 教授)
「体の恒常性を司る脳 — 肥満とやせの不思議を探る」
座長 鍋倉 淳一 (生理学研究所 教授)
【内容】
近年、世界中で肥満が問題となっています。しかしながら、個人差や年齢の影響は大きいものの、少しぐらい暴飲暴食をしても多くの人があ まり太らないことも事実です。ご飯一杯分を毎日余分に食べると、私達の体は10キロ近く太るはずですが、そんなに太ることはまれです。反対に、食事が摂れ ない時には痩せすぎないよう、体を調節しています。近年の研究により、これらの調節に脳が重要であることが明らかとなってきました。また、生活習慣によっ て脳に変化が起こり、肥満することも分かってきました。本講演では、肥満とやせに関わる体の不思議についてお話します。
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箕越 靖彦 氏 愛媛大学医学部卒、愛媛大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。同大学医学部助手、講師、助教授、ハーバード大学医学部Lecturerを経て、2003年11月より現職。 |
特別講演② 11:00~11:45 岡崎コンファレンスセンター
定藤 規弘 先生(自然科学研究機構 生理学研究所 心理生理学研究部門 教授)
「褒め を科学する」
座長 小松 英彦(生理学研究所 教授)
【内容】
褒めは他者による肯定的な評価のことで、社会的承認と捉えることができ、人間が無事に生きていくための重要な条件の一つです。近年急速 な発展を遂げた人間の高次脳機能計測手法により、社会的承認(褒め)は、基本的報酬や金銭報酬と共通の神経基盤をもつことが明らかになりました。今後重要 性を増すと考えられる脳科学的知見と教育研究の関係について解説します。
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定藤 規弘 氏 京都大学医学部卒、同大学院修了、医学博士。米国NIH客員研究員、福井医科大学高エネルギー医学研究センター講師、助教授を経て1999年1月より現職。専攻は医療画像、神経科学。 |
特別講演③ 13:00~13:45 岡崎コンファレンスセンター
渡辺 登喜子 先生(東京大学東京大学医科学研究所 感染・免疫部門 ウイルス感染分野 特任准教授)
「鳥インフルエンザウイルスパンデミックの可能性」
座長 岡本 秀彦(生理学研究所 准教授)
【内容】
ここ数十年の間に、エイズ、エボラ出血熱、SARSといった致死率の高い感染症が人間社会に現れており、多くの犠牲者を出しています。 その一つである“鳥インフルエンザ”は、鳥類に感染する鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染して重篤な症状を起こす感染症です。一般的に、鳥インフルエ ンザウイルスはヒトに感染しにくいと言われています。しかし、近年、H5N1亜型やH7N9亜型の鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染例が増加してお り、公衆衛生上、深刻な問題となっています。今までのところ、ヒトーヒト間の伝播は見られていませんが、もしもこれらのウイルスがヒトに適応し、ヒトへの 感染やヒトーヒト間での伝播が効率よく起こるようになれば、鳥インフルエンザウイルスによるパンデミックが引き起こされ、世界はパニックに陥ると考えられ ます。
本講演では、最近得られた研究結果を元に、鳥インフルエンザウイルスのパンデミックの可能性について論じます。
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渡辺 登喜子 氏 北 海道大学大学院大学獣医学研究科博士課程修了(獣医学博士)。米国ウイスコンシン大学インフルエンザリサーチ研究 所にてAssistant Scientistを経験後、科学技術振興機構ERATO河岡感染宿主応答ネットワークプロジェクトのグループリーダーに就任。現在は東京大学医科学研究 所 感染免疫部門ウイルス感染分野の特任准教授。 |
特別講演④ 14:00~15:15 岡崎コンファレンスセンター
井口 聖 先生(自然科学研究機構 国立天文台 電波研究部 教授)
「アルマ望遠鏡、ついに始動! -天文学の新時代の扉が開かれる-」
座長 南部 篤(生理学研究所 教授)
【内容】
日米欧共同で建設したアルマ望遠鏡。南米のチリ共和国、アンデス山中にあるアタカマ砂漠、標高5000mのチャナントール高原に設置さ れた究極のミリ波サブミリ波電波望遠鏡は、世界中の多くの天文学者の期待を背に、2011年9月より初期科学運用が開始し、2013年3月には現地にて開 所式典が挙行されました。現在本格的な科学運用が行われ、日々性能向上にも努めながら、さまざまな観測成果が発表されています。本講演では、アルマ望遠鏡 が解き明かしてくれるであろう「これまでの謎」そして「新しい天文学への展開」について紹介します。また、66台のアンテナを1つに結合させる電波干渉 計、この根幹となる「開口合成法」についても紹介します。
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井口 聖 氏 学 位授与後、国立天文台に就職し、2012年より国立天文台・総合研究大学院大学・教授。国際アルマ望遠鏡計画に従事 し、2008年より、アルマ東アジア・プロジェクトマネージャとして計画を推進。2008年度日本天文学会研究奨励賞・受賞、平成25年度・科学技術分野 の文部科学大臣表彰・科学技術賞・研究部門・受賞。 |
研究室公開
開催場所ご案内
明大寺キャンパス
展示テーマ | 備考欄 |
脳の分子の働きをカエルの卵で調べる | |
肥満の不思議を科学する | |
超高圧電子顕微鏡の見学とスマホ顕微鏡の体験実験 | 観察 |
視覚と運動を支える脳内メカニズム | 体験! |
脳の細胞たちを撮ってみよう ~蛍光タンパク質で脳を光らせる~ | 体験! 観察 |
明大寺会議室
展示テーマ | 備考欄 |
脳波を使ったうそ発見器の実演 | 体験! |
人の『こころ』を見る ~fMRI研究~ | |
自分の心臓、血流の音を聞いてみよう! | 体験! |
体感しよう、運動学習 | 体験! |
脳がみている世界 ~あなたが見ている世界は本物か?~ | 体験! 観察 |
遺伝子・脳・行動 ―遺伝子改変マウスを用いた研究― | |
生理学実験の技術開発と公開 | |
君は何を見ているのか? | 体験! |
ウイルスベクターって何だろう? | 体験! |
岡崎コンファレンスセンター
展示テーマ | 備考欄 |
細胞を部品に分けてみよう | 体験! |
顕微鏡で見る脳の神経細胞 のぞいてみよう!不思議なかたち | 観察 |
「温度」「におい」ってどうやって感じるの? においと温度の意外なっ関係 | 体験! |
感じ方・考え方・覚え方のしくみ: 神経細胞の働きから解き明かす | 体験! |
色がついた脳細胞を観察してみよう | 観察 |
生殖医療を支える発生工学技術 ―ネズミの体外受精やiPS細胞をみてみよう― | |
ドキドキ体験!! ♡見てみよう動く心臓♡ | |
ひらめきときめきサイエンス マッスルセンサー工作体験教室 (要予約)
「脳の中で神経の電気信号はどうやって伝わっていくか調べてみよう!
カラダの電気信号でロボットアームを動かす!!」
開催日:2014年10月4日(土) ※申し込み締め切りは9/8 17:00
時 間: 中学生 10時受付 高校生 14時受付
会 場:一般公開 明大寺会場 生理学研究所 広報展示室
共 催:日本学術振興会
【お問い合わせ先】自然科学研究機構 生理学研究所技術課
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話題2 生理研が豪州New South Wales大学(UNSW)医学部との学術協定に調印。
8月14日に井本所長と鍋倉副所長が、生理研とUNSW医学部間の学術協定調印のため豪州を訪問し、協定書に双方が署名しました。UNSWはシドニーにある学生数約5万人の国立大学で、オーストラリアTop 5の一つです。UNSWの生理学・神経科学の規模はそれほど大きくありませんが、オーストラリアの伝統として電気生理をはじめとする計測技術を得意とし、特に人工内耳の基礎研究が盛んに行われています。
生理研とUNSWの研究交流が、両研究所にとってこれまでにない新しい研究アプローチをもたらし、素晴らしい発見への礎となることが期待されます。